「こらっ…そこの二人、待ちなさい!」




逃げる二人に気付いた、音楽の先生らしき人の声が後ろから追い掛けて来たが、

二人は止まる事なく、走り続けた。






「″待て″って言われて待つ奴なんて、居ないっつの 笑」




少し口を尖らせて、当然のように言う彼が何だか可愛い。






「…だね 笑」




手を繋いだまま、小さく笑い合って、

二人は人気の無い校舎を、走った。






「大丈夫?」




貴史が時々 振り返って そう訊いて来る度、

和は息を切らしながらも、″こくん″と 頷いた。


頷く度に、言葉の代わりに貴史の手を ぎゅっ と握ると、

和を引っ張る手の力も、強くなる気が…して。