「あれ?


早かったね。


もう大丈夫なのー?」




しょんぼり して帰って来る和に、

校門の近くの大きな石に座って、足を ぶらぶら させていた蓮が、聞いた。






「…先輩、待っててくれたんですか?」




「うん♪」




ぴょん と 石から飛び降りて和の横に来た、その仕草が可愛くて、

和は凹んでいた筈なのに、思わず笑ってしまった。






「…先輩、子供みたい 笑」




そう言うと、よく言われるのか″へへ″と、笑った。


そして今度は少し心配そうに、

あの猫に そっくりな目で和の顔を覗き込んで、言った。






「…友達、居なかったの?」




「…あー、はい。


まぁ そんな感じ、です」






「そっかぁ~。


残念だったね」




「あの…、何か色々と すみませんでした」




和は今日の お昼休みから始まって、一連の事を思い出しながら、言った。






「お昼休みは、いきなり泣き出しちゃうし、

帰りは勝手に出てっちゃうし、

今も待たせちゃうわ で…


ほんとに ごめんなさい」




そう言って頭を下げた和に、蓮は明るい笑顔を見せた。






「…そんなの、ほんとに全然 気にしてないよ!


それに和ちゃん…、泣きたい時は泣いて、いいんだよ。


俺んとこで良かったら、いつでも来て良いから…さ」




貴史の事で落ち込んでいた心に、

また蓮の言葉が、じんわり と 沁みた。