入学式の日、和が見た貴史は、

満と同じ金髪で、お洒落な所も、ピアスの数も、身長も似ていた。


満は女の子みたいな可愛さだったが、貴史は綺麗で格好よく、

二人とも人形のような端正な顔の造りは、同じ だった。


ただ纏っている雰囲気が違っていて、

貴史に鋭いナイフのように尖った、冷たい雰囲気を感じた和は、

彼を綺麗だとは思ったが、近付こうとは思わなかった。




しかし今に なってみると それは、貴史の雰囲気の所為でも何でもなく、

″こうなる″事を、本能的に感じ取っていたから なのかもしれない と、思う。




ある意味、満が居る間、和は貴史を好きに ならずに済んだ。




しかし あの時…満が目の前から居なくなって、

和の目に貴史が映ってしまった。


もし あの時 満が姿を消さなかったら、

和の運命は、変わっていたのかも…しれない。