「…香澄は死神として生まれて来たのに、何かが変だった」




「……うん」






「器に人間の記憶が残っていたのか何なのか…、

人間として生きよう とした」




「……うん」






「だけど人間として生きよう と しても生きられなくて、

あいつは段々 自分を追い詰めるように なった」




「……うん」






「人間としても、死神としても生きられない自分を、

何度も消そう とした。


具体的には…、自殺を繰り返した」




「……うん」






「…だから あいつは今、病院に居るの」




「…そう、なんだね…」






「記憶操作で″深谷家の長男″て事に なってるから

人間として入院は してるけど…、


実際あいつは人間でも死神でもない…

ただの自殺志願者に なってた」




「………」




あなたの顔が、少し悲しそうに…見えた。


私は黙って、あなたの話に耳を傾けた。






「…あいつの…、

自分を消そう とする気持ちに反発して生まれたのが…、…俺。


あいつが人間と死神の間で葛藤して、″死にたい″って思ってる一方で、

それとは全く正反対の″生きたい″って気持ちも、

あいつの中に あったんだ と、思う。




その気持ちが香澄の体から追い出されて、

″宗谷 貴史″という1人の人格を作ってしまった。




深谷 香澄の中には″死にたい″っていう気持ちが残って…、

俺の器には、それとは正反対の気持ちが…宿った」




「…だから、深谷くんと宗谷くんは、

似てるような、似てないような…、不思議な感じが してたんだね…」




私が納得したように呟くと、あなたは柔らかく微笑んだ。






「…かもね。


俺と香澄は元々は″1人″だったから」




あなたの言葉は、私の心に重く響いた。






―それで あなたは、自分の事を……―




…″死に損ない″なんて、深谷くんに言ったりして いたんだろうか…。