「…そー言えばさぁ」




がらり と 雰囲気を変えるトーンで あなたが言って、

少し迷うような表情で、私を見た。






「あんたには、まだ言ってなかったんだけど…」




「なぁに?」






「…俺と、香澄の話」




「…うん」






本当は、ある程度 深谷くんから話は聴いて居たのだけれど、

あなたが自分から話そうと してくれた事が嬉しくて、

私は初めて聴くような顔をして、頷いた。


でも あなたは不思議な事に、

深谷くんからは聴く事の無かった話だけを、してくれた。






「…いきなり…なんだけどさ、…


…死神ってのは、

人間の体を器にして宿るもんなのね」




「……うん」




私は静かに頷いた。






「だから姿形は人間だけど、

戸籍上は この世に存在してないの」




「…存在して、ない?」




深谷くんや、深谷くんに関わる人達の事を考えて、

私は疑問を口にした。


あなたは何の事を訊かれたのか すぐに分かったようで、

私の疑問に答えてくれた。






「親子関係や親戚関係は、記憶を操作させて貰っててさ…」




「記憶を操作…」






「″深谷 香澄″は、深谷家の長男として生まれて来た事に なってる」




「……うん、そっか」






「だけど……」




あなたが言葉を切って、少し止まった。


私は あなたの言葉の全てを受け止めよう って前に決めていたから、

そのまま黙って待っていた。