「……そっか 笑」




暫くして、夕日に目を向けたままで、貴史が短く呟いた。


何だか少し…

照れ臭そうに、笑った。








「…何かさぁ」




それから、軽く手を組んで体を伸ばして、

何気ない調子で、貴史が口を開いた。






「…なぁに?」




和が聞き返すと、相変わらず空を見つめたまま、貴史が言った。






「…あんたと話してたら、もう少し……




…いや、


やっぱ 何でもない」




「宗谷くん…」






そう言い掛けた貴史は…

何だか そのまま空に溶け込んでしまいそうに、見えた。


…何を言い掛けたかも、

訊けないほど…。