″落ち着いて″とは言われたものの、

あまりにも衝撃的な その発言に、和は その場に固まった。






「え?


え?


それって どういう…」




「うーん、何て言えば良いのかな…。


体は此処に居るけど、魂は貴史の目を通して、違う所を見てた…

…って言えば、分かる?」






「いや、全然 分かりません」




和が最もな意見を述べた。


すると香澄は″…そうだよね 笑″と苦笑すると、

そのまま考えながら、話を続ける。






「そうだな…。


貴史の目を通して見てる って言うと、

俺が貴史の体に乗り移ってる みたいに聞こえるけど、そうじゃなくて…


あくまで貴史と俺は、

普段は全く別々の意思を持って、別々に生きてる。


それが どういう事かって言うと…

実は最初に″同一人物″って言ったけど、

元々 俺らは、″一人″だったんだ。


だけど、精神が分裂して″二人″に なった。


だから貴史は自分の意思を持っては いるけど、

それは自分で持ちたくて持っているもの じゃなくて…″持たされている″もの、なのかもしれない」






…和は この現実味のない話を、

どう受け止めて良いやら、分からなかった。


受け止めるだけ ではなく、意味も何も、分からなかった。