「…でさぁー…………
……だったんだってぇ」
「はぁー?
何、それ 笑
馬鹿じゃん!笑」
「あははは!
貴史くんなら、そう言うと思ったぁ 笑」
「…おーい、貴史ー。
B組の白河さんが呼んでるー」
「んー、分かった。
今 行くー」
「えぇー貴史くん、また女子から呼び出しィ?」
次の日から和は、貴史を目で追うように なっていた。
貴史の周りには いつも男女 問わず人が集まっていて、
その中心で無邪気に笑う彼に、気付くと視線が吸い寄せられていた。
和は必死に、その事実を心の中で否定した。
そして、言い訳をした。
今までは″あの人″が居たから、貴史の事は目に入らなかった。
″あの人″が居なくなったから、彼が目に入る…だけ。
…其処に感情は ないのだ、と。

