公園のベンチに座り
そんな叶わぬ夢に耽ていた。

気付けば、
太陽はすっかり沈んでいて、

公園の脇に添えてある
電灯は私を勇気づけるように
明るく照らしてくれている。

痛む心の傷口から
あふれ出すような涙。

傷付けられた訳でもない。
でも涙は止まらない。

無駄に広い公園の
隅にあるベンチは
私に孤独を思わせた。

そのまま何分か、
気が済むまで泣いた。

やがて泣きやみ、
目が乾くまでボーっと
過ごしていた。

目が乾いて帰ろう
とした矢先の出来事。

全身白い布で
包まれたような服を
身に纏ったお婆さんが

「お隣。失礼…」

と、言って
ベンチに腰を
ゆっくりと下ろした。

他にもベンチはあるのに
なぜかこのベンチを
選んだおばあさんに
私は疑問を抱いた。

「いいですよ。
私はもう帰るので」

私はそう言って
鞄を持ちベンチから
何歩か歩いた。

「かなちゃん。
待ちなさい。」

「…え?」