「わ…わたっ…私っ!」 芹沢くんが、私を抱く腕に力をいれた。 「何も言わないで…」 芹沢くんの体は震えている。 少し体を離し、私の目を覗き込むと、照れた様にちょっと笑った。 「俺、緊張してる…どうにかなってしまいそうだ…」 「芹沢くん…」 その瞳は、哀しげで切なく、濡れたように光っている。 綺麗な瞳… 私は、息を呑んで彼を見つめる。 すると、彼は参ったと言うように、目を逸らすと私を離した。 「芽衣さん…帰って下さい。このままだと、自分を抑えられるか自信ない…」