意地悪なアイツ【完】



先生に手当てをしてもらい
ビニールに入った氷を貰った。


「腫れてるからタオルにくるんで冷やしてね」
と渡されたがタオルがない。



『あのータオルがないんですけど』


「あっ俺持ってるから貸すよ!」

笑顔でタオルをさしのべる彼。

すごく綺麗な顔…。


『あっありがとう』

私は笑顔で受け取った。



ガラガラガラッ

『「失礼しました」』



私たちは保健室を出た。

「今日は本当にごめんね。
なら授業頑張ろうね、じゃっ!」


『……』


彼は風のように去っていき、
角を曲がるまであたしは彼を見送っていた。

きっとこの時、
あたしの心は彼に奪われていたと思う。



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