意地悪なアイツ【完】



「お前何してんだよ」

健人が私の腕を持ち無理矢理立たせた。

「手、怪我してんじゃん」

小さく私は頷く。



「旅館ってここから近いっけ? 」


「うん、近いと思う」

「なら行くぞ歩けるか?」

下から私の顔を覗いてきた。



『大丈夫
でも歩きにくいから肩貸してほしい…』

健人は黙って私の腕を肩に回し
優しく腰に手を置いた。
ゆっくりゆっくりと私の歩幅に合わせて歩いてくれる。



健人優しすぎだよ…

こんなに優しかったら
どんな女の子でも惚れてしまうよ…



「お前肉ついてんな」

私のお腹の肉をつまんで
意地悪な顔をして笑った。


全然優しくない!!
前言撤回ーーーーーーっ!




階段を降りる度にズキズキと痛む太もも。

険しい顔をする私に


「大丈夫か?痛いなら俺の背中に乗る?」

『ありがとう、大丈夫だから』

「無理すんなよ」


今さっきの意地悪な健人とは違って
めちゃくちゃ優しい。

そんなギャップのある所に
私の胸を少しつつかれた気がした…