意地悪なアイツ【完】



「卒業生退場」


マイクを通して聞こえる教頭先生の声。

吹奏楽がひく演奏。


私は可奈の手を握り、
一歩一歩踏みしめながら体育館を出た。


回りから聞こえる音はすすり泣く声だけで
誰一人喋らず教室へと歩いていた。


「可奈っありがとう。交代するよ」


横から聞こえた愛美の声。


ずっと私の右手を持って支えてくれていた可奈の手が離れ愛美の温かい手へと代わる。


『可奈 ありがとう』

「いーえ!
最後に唯と手を繋げて良かったよ」


可奈の嬉しそうな声…

三年間ずっと同じクラスだったけど、
こんなに嬉しそうな声を聞いたのは初めてだ。


いや…それとも私がちゃんと声を聞いていなかったからかな?


「唯、階段登れる?
なんなら私おんぶするよ?」


あたし達の教室は二階。

体育館に行くときは先生に支えられながら
みんなより先についていた。