意地悪なアイツ【完】



雨の音がザーザーと聞こえる。

雨が嫌いなあたしでも
何故か今だけは心地いい音に聞こえた。


雨足が強くなってきて
ビショビショになる私のローファー。


早く帰りたい気持ちに駆られ
小走りで角を曲がろうとしたら



ドンッ


また誰かにぶつかってしまった。

今日はぶつかる事が多いなと考えながら顔をあげると…


そこには健人がいた。

二人の間に長い沈黙が流れる。
その長い沈黙を先に破ったのは



「何で逃げたんだよ」

健人だった。

あのときと同じ冷めた口調で話す。


『逃げるって何が?』

「何であの時盗み聞きしてたんだよ」



傘をさしていてよく顔が見えなかったけどいつも笑顔の健人が無表情だったのは分かった。

まるで別人みたい。