意地悪なアイツ【完】



聞こえているけど
聞こえていないふりをした。

真に受けていたらきっと私の心はもたないそう思ったから…



授業が終わると私はさっさと体育館を出て
一人、更衣室に向かった。


「おいっ唯!」

後ろから私を呼び止める声…
振り返るとそこには健人がいた。

「お前大丈夫かよ」


私は頬に手をやりながら

『あー大丈夫』

「はっ?
いやいやそうじゃなくて、可奈の事だよ」


えっ?
なんで知ってるの?


『なんでっ…』

「俺が周りを見てないって思ってるのか?
ちゃんと見てるよ…

で、大丈夫なのか?』


いつも、意地悪だから
こんなに優しくされるのが嬉しくて
つい笑みが出てしまう。

だから、

『大丈夫だよっ!!』

満面の笑みで答えた。



本当は大丈夫じゃない
助けて…って言いたい

でも…

でも、言えなかった。