優しくて温厚な父と、異常なまでに教育熱心な母親。
その間に生まれた俺。
もうこのへんで容易くトラブルを嗅ぎ付けられると思う。
俺は昔から、スポーツが大好きだった。
水泳とサッカーを習い、わりといい線行っていた。
というか、運動神経に恵まれたらしい俺は、どのスポーツも結構できたんだ。
もうほばサッカー一筋で打ち込んでいた小2の俺に、母親はいつも決まってこう言った。
「サッカーより、将来のために勉強しなさい」
ちょっとなんか、小2の子供に言うに相応しくないような言葉のような気がするが、母がこう言うのは、母が知っていたからだ。
俺が普通の子ではないことを。
というとちょっと大袈裟に聞こえるかもしれない。
けれど確かに、俺の頭脳は周りよりも優れていた。
それがIQの違いだと分かったのはもっとずっと後になってからだが。
