席に着いてカバンを横に掛ける。
今日が、俺がこの学校で過ごす最後の1日。
転校するのだ。
そのことを知っているのは、担任とそのほかの教員たちだけだ。

「転校のこと、クラスの子達に言ってもいい?」
と前に担任が言ってきたが、変にウワサされるのも嫌だったので、それはちょっと、とだけ返事した。

普通なら、”お別れ会”だとか?
開いてもらって、仲間との別れを惜しむだろう。

だが、友達と呼べる人が1人もいない俺にとって、ただ形だけの会は苦痛でしかない。

でもそれって、ちょっとさみしい。
口に、態度に出さなくても。


ところで、俺の急な転校の理由は母親にある。