こんな日くらい、一応、この景色に浸っておくべきだろう。

見慣れた窓からの見慣れた景色を一瞥する。
都会の無機質な街並み。
俺がここから去ることを、喜びも悲しみもせず、ただ無関心に俺を見ている。


徒歩15分で着く中学校。
一歩入ったところで立ち止まり、やっぱり校舎を一瞥する。

そうしたところで、感じるものは何もないが。


廊下の人だかりの向こうに、中間テストの結果表が貼り出されているのが見える。
その先頭に、当たり前の様に自分の名前が一文字一文字、行儀よく並んでいる。

1 智見令央|500/500

俺の定位置。
ちらりと視界によぎらせるだけして、さっさと教室に足を運んだ。