あぁでも、まだいる、私の嫌いな_____。
「ただいま……」
玄関で靴を脱ぐと、あまり長くはない廊下の向こうから、おかえり、とお母さんの声がする。
2階に上がり、”TOWA”のプレートがかかったドアを開ける。
電気をつけて、スクールバッグを床に放り投げて、制服のままベッドに倒れこんだ。
「ぅんーーーう」
何だか今日はとても疲れた。
きっとあの子らの雑用引き受けたからだ。
あのあとクラス全員分の英語ワーク(けっこう分厚い)を4階まで運んだ。
私普段ぜんぜん運動とかしないし。
何かもう3日分くらい動いた気分。
部活で絵を
どんだけ運動不足なんだ、私。
あー、眠い……。
<ぐぎゅるぅぅう…>
……おなか空いた。
どうやら睡眠欲よりも食欲が勝ったようだ。
リビングに下りてカントリーマアム食べよう……。
起き上がってドアノブに手をかけると、ドアの向こうから、ガチャリ、と硬い音が耳の奥を突いた。
今日は早いな……。もう帰ってきたの?
どうしよう……今出て行ったら……いや、今じゃなくても、絶対気づかれるよね。
あいつとはなるべく顔を合わせたくない。
けどこのまま夕飯まで壁2枚挟んだ向こう側にあいつの気配感じて息苦しくじっと……。
なんていうのは耐えられない。
そんなの、夜寝るときだけで充分だ……。
私は、意を決してノブを引いた。
