文目剣術部【参】


香賀さんは「椅子にでも座ったら?」と笑顔で私に言ってきた

言われるまま私は椅子に座った

「自分の怪我よりも俺は皐月の方が心配だなぁ…」

「詠さんですか?」

「うん…あいつのああいう顔初めて見たからさ」

「今にも泣き出しそうな怖がってる顔」と香賀さんは窓の外を見た

「何だ来てたなら声くらいかけてって良いのにあいつ」

香賀さんはつまらなそうな表情で病院を出て行く詠さんを見た

「あの饅頭食いたかったのにな」

「饅頭?」

私が首を傾げると香賀さんは帰って行く詠さんを指差した