香賀さんは「椅子にでも座ったら?」と笑顔で私に言ってきた 言われるまま私は椅子に座った 「自分の怪我よりも俺は皐月の方が心配だなぁ…」 「詠さんですか?」 「うん…あいつのああいう顔初めて見たからさ」 「今にも泣き出しそうな怖がってる顔」と香賀さんは窓の外を見た 「何だ来てたなら声くらいかけてって良いのにあいつ」 香賀さんはつまらなそうな表情で病院を出て行く詠さんを見た 「あの饅頭食いたかったのにな」 「饅頭?」 私が首を傾げると香賀さんは帰って行く詠さんを指差した