「あー、少しなら」


突拍子もない質問に、三辻を盗み見た。もうこちらを見ていなくて、真っ直ぐ止まない雨を見ていた。


「もしかしたら、こんなに雨の激しい日だって、少し走ったら、あっちは晴れているかもしれないけど、それをしないのは濡れるのがめんどくさいからだよね」


「まぁ…そうだな」


何を言いたいのか理解できず、曖昧に頷いた。


「でも、そんなめんどくさいことに飛び込んでいけるのは大したもんだなって感じしない?」


三辻はこんなに不思議ちゃんだったか?
と思考を巡らしていると、喩えが悪かったわ…、と三辻は笑った。



「晴れていないかもしれないけど、今日、私は勇気を使おうと思うの」