気合いの華

見た目からは傷があるなんて到底思えないが、俺は現に太股に痕が残ってるのを見てしまっていたから知っていた。

「辛いよね…」

「今でこそこうやって話してっけど、昔はこう見えて精神科も行ってたんだよ…」

「そ、そうなの?」

その時、俺は田渕先輩の顔が頭に浮かんだ。

「今でも川畑見るとみんなあの頃がフラッシュバックすんだよ…」

「うん…」

俺はなんて言ったら良いのか考えたが、かけてあげられる言葉が浮かばなかった。

「…有り金全部渡したのを確認するまでアイツは止まんなかったんだよ…あの頃は小さかったから、泣いても叫んでも殴ってくる川畑が、怖くて仕方なかった。」

「うん…」

「今でも怖くないかって言われたら怖いけどさ、アイツの痛みもわかる様になってきたんだよ…」

「うん…」

「でも、辛い想いをしたのはアイツだけじゃないんだよ!学校にいる全員がそうだった。学級崩壊ってのはあんな風な事なんだろうね?」

そう言って微笑んでくれたが、俺はなんて対応したら良いのかわからなかった。

「だから今の2、3年の気持ちもわかる。でも、だからこそあの頃を知らないカズキは、もっと相手の気持ち考えなきゃダメだよ?」

「うん…そうだね。」

きっと田渕先輩の事を指してるんだろうな。

「まだ1年だから難しいかも知れないけど、ヤンキーって思いやりがあって初めてなれるんだと思う。」

ヤンキー、か…