お互いに倒れてしまったが、谷尾さんはすぐに立ち上がった。

「今のライトクロスは効いたぞ?」

「くっ!」

俺も立ち上がってマウスピースを直した。

「よくあの態勢から足使えますね?」

「まだ続けるだろ?」

「もちろん!!」

俺は一気に飛び膝蹴りを入れたがガードされた。

こっからの…

「ストレートだろ?」

バキッ!!

「回し蹴りっすよ?」

谷尾さんに綺麗に入ったと思ったら、肘でガードされていた。

「強くなったなぁ!」

「あの技を最近は練習してたんすよ?」

「俺からもいくぞ?」

間合いをジリジリと詰めて来て、ジャブを何度もフェイクを入れて来た。

これじゃ埒があかないよ…

俺は思いきって得意のアッパーを打ち込んだ。

バスッ!!

「んぐっ!!」

俺の腹に前蹴りがめり込んでいた。

「ゲフッ!ん…」

俺は膝をついてしまったが、立ち上がった。

「こうやって頭使うやり方もあるんだぞ?」

「俺は頭は使わないですけど…直感を信じてますから!」

「ふっ!いっちょまえな事言えるぐらいに成長しやがって…」

俺は詰めていき、また接近戦に持ち込んだ。

「狙ってんのはわかってんだよ?」

俺は別に狙ったりしてる訳じゃない…
喧嘩で鍛えた直感を頼りに打ち合っている。