『あーーー!!なに優壱今の!!あーびっくりした。』
校門を抜け、よく下校をともにしていた優壱。
『………………。』
だけどなんかこの日は違った。
『朝陽。』
なんか、なんとなくだけど
『んー?』
優壱の様子が変で
なんかうまく笑えなくて口がいがむ。
『こないださー』
いつもならからかう場面なのに
『…………』
なんだか黙っちゃったりして
『告られて…』
『へ………うそ。
まじで?!誰に誰に?!』
そう言って興奮しながら跳ねるわたしに
『や、おれ、断ったから。』
そう言うなり 一歩前、歩いてた優壱が足をとめ、振り返り言った一言は
わたしの心臓を とくんっと跳ね上がらせた。
『は。何で? え?なに』
自然とわたしの足も
『おれ。おまえがすきやもん。』
止まった
『は?ちょっとまって。なんでそこで天地がひっくり返っても有り得ないようなおもしろくもない嘘をなんで言うかな?バカ壱。』
なんかいきなりすぎて早口になるとともに手足まで動いあたふたしてるし
わたし なんか、かっこわる。
『や、ちが、だから…』
あ、でも
だからか。じゃあ、あの嫌がらせみたいなこと。
優壱に告白した子のグループから…?
『ちょ、じゃあわたしまで被害被るやん!死ぬとこやったやん!』
オー怖いオー怖いとわざと自分の両肩を抱いてさすりながらおどけてみた。
なのにやっぱりどこか違う優壱に戸惑ってきた
俯く二人にかつてこんな空気なんて
今までに流れたことなんてないのに。
でも、空気は読めるようにこれからはなろうと思った
『………ほんまは。ちゃんと告白しようと思ってた』
『……え。』
でもおまえ学校こないし、って続ける優壱
もう、なんかなにを言い出すのか、何となくバカなわたしでもだんだんわかった。
『や、待って、たんま。それゆう…『聞けって』
真顔の優壱。
意味がわからない。こんなときに冗談言うなんて。
『おれ…嘘なんかついてない』
なんか初めてのシーンだというのに
腹立たしいようなどこかくすぐったいような
ちょっぴり顔が熱いような、胸が騒がしいような
身体中、火山が大噴火したような
そんな何ともいえない今までにないものが胸にこみ上げた。
『………いい。信じたくないし……も、帰る』
でも本当は
もしかしたらわたしにとってはこれが初恋だったのかもしれない。
でもなんだか
この時のわたしにはなんだかこんな感覚が怖く感じて
最後まで聞いていたら、あんなにも仲がよかった優壱と友達でいられなくなるような気がして。
寂しく感じた。
きっと、まだまだほかのどんな子よりも子どもで、どうしようもなく不器用だった
