『朝陽。あのさ、いいかけてたことやねんけど…』

優壱が他の男友達に紛れていく姿を見届けたあと、萌が口を開いた

と、ともに授業が始まりますよの合図のチャイムが鳴った。


『おーい、戻れー。』


それと同時に担任の先生の声。


『おまえ等も戻れ!!』


まだ話足りないわたしと萌を引き裂く吉田。

いや、吉田先生。か。


萌とは中学二年までは同じクラスだったし、小学校の頃からの女友達。

だからかな、中学三年生になって離れ離れになったのは仲がよすぎたせいかもしれない。


でも、そんな萌が言った言葉はわたしが吉田に腕をひっぱられながらも彼女の忠告は伝わった。


『あんまり優壱といないほうがいー…。かも』









そのときのわたしには、その言葉がなんだか可笑しく思えて


今更幼なじみのあいつとのあいだでなにがあるっていうんだろ



なにを根拠に  そんなことゆうんだと。


その場で鼻で笑った。



でも、きっとそんな楽観的な考えのわたしのことをよく思ってはいなかった人。連中。


人間。



この時のわたしは大人には嫌われていたとしても


子どもという存在の私達、同級生達に存在を煙たがれることなど有り得ない。



なぜって。


仲良く過ごしていたから。




そんな簡潔に、事を感じていた。




友達って、





“そんなこと”でなんて崩れ落ちるものだなんて…




思いもしなかったし。








でも、よく考えれば


いつどこで誰と誰が友達に成り立ったのかなんて





きっとだれにもわからないものなのに。



そう。



友達の証なんてものは目にみえるものではないから。