「はぁ、はぁ・・・」

しばらく走っていたら
いつの間にか
自分の家の前まで来ていた。

士狼は
更紗さんを探すために
人間界に来てた。

そんなことはわかってたのに
どうしてこんなに苦しいんだろう。

相模先輩が
士狼目的で私に近づいたことより、

頭の中をのぞき見られたことより、

相模先輩にはもう大切な人がいるって
ことより、

士狼に『関係ない』って
言われたことに傷ついてる。

『士狼さんのこと好きなの?』

莉沙に聞かれたことを思い出す。

そうなんだ。

士狼の言葉や行動に
こんなふうに
喜んだり傷ついたりするのは


好き、だからだ。