「何を考えている。
 使役されるということは
 一生縛られるということだぞ」

「わかっています」

「わかっていない!
 とにかく許さないぞ」

有無を言わせない様子に
それだけ更紗さんが
大事なんだと感じる。

ズキン

胸が痛い。

「さあ、行くんだ」

すると今度は
相模先輩が
更紗を抱き寄せた。

「君の許しなんて必要ない。
 更紗は僕のものだ」

「千尋・・・」

2人の間に流れる空気は
とても甘い。

でも士狼はそれには
気づいてないみたい。

「士狼。
 無理やりは良くないんじゃない?」

そう言ってみると、

「お前には関係ない!」

そう言われてしまう。

「確かに関係ないけど・・・」

そう呟く声が
震えてしまった。

「そんな言い方ないじゃない!」

走り出した私に

「おい、ひより待て!」

慌てた士狼の声が聞こえたけど
止まるつもりはなかった。