炎の球は先輩の前で
見えない壁に当たったように消えた。

「き、消えた・・・?」

呆然と言うと、
先輩はにこりと笑う。

「まさかこんなので
 どうにかなると思った?」

「・・・先輩は何なんですか?」

私の問いに先輩は笑う。

「僕は相模千尋だよ?」

返ってきたのは欲しいものではなかった。

「ただし、人間じゃない」

ただ、付け加えられた言葉は
今の状況を十分に説明するものだった。