「先輩優しいですね。
 まだ会ってそんなに経ってないのに
 なんでそんなによくしてくれるんですか?」

純粋な疑問だ。
柔道部のことや、
生徒会のことだってそう。

なんでそこまで
世話をしてくれるんだろう。

「初めてみたときから
 気になってたんだ」

すっと相模先輩は
ベンチから立ち上がり
私の前に立つ。

そして
そっと肩に手を置かれる。

な、なに?
もしかしてキスされる・・・?

先輩は
うっすらと笑みを浮かべる。

それは今まで見たことない。
笑っているのに
笑っていない顔。

なんだか、怖い。

「せ、先輩・・・?」

「僕も結構長生きしてるんだけど
 珍しいんだ。
 君みたいなタイプ」

長生き?
何を言ってるの?

「その全身にまとわりついてる香り」

頭が混乱して
よくわからない。

「ねえ・・・
 君はどんな悪魔を飼っているの?」

耳から入ったはずの言葉は
そのまま上滑りして、
一瞬周りの時間が止まる。

私はその場から一歩も動けずにいた。