「あれ、会長と副会長だ」

「相模(さがみ)先輩!
 うわさどおりちょーかっこいい!!」

「深雪(みゆき)先輩もキレ~」

「この高校来てよかった!」
 
キャーキャー騒ぐ
皆の視線を辿っていくと
1組の男女が
やってくるところだった。

ドキンッ

息が止まりそうになる。
私の視線を奪ったのは
男性の方だった。
 
眼鏡から除く瞳は切れ長で
不思議な色をしてる。
身長は寛人より少し低い。
細身でも決して華奢ではない。
優しげな表情がとても素敵。

信じられない。
理想の王子様が現実にいるなんて。

その人は横にいる美女と
にこやかに会話していたけど
立ち止まっている私たちに

「おはようございます」
 
ととても優しげな笑みを浮かべて通り過ぎて行った。
 声もすっごく素敵・・・。
 
「・・・りちゃん。
 ひよりちゃん?」

はっと意識を戻すと
莉沙が心配そうに見上げてる。

「そろそろ行かないと」

「ごめん・・・王子様が」

「王子様?ひよりちゃん大丈夫?」

思わず口に出してしまい
莉沙に更に心配されてしまう。

「な、なんでもない。行こう」

莉沙の背を押しながら
体育館へ向かう。
でも心の中は
通り過ぎて行った人のことで
いっぱいだった。