「帰るの気が進まない?」

答えに困っていると、

「じゃあ、
 もう少し一緒にいようか」

そう言って手を引かれる。

無言のまま
連れて行かれたのは
小さな公園だった。

あまり遊具もないし
もう夕方だから
人気がない。

促されてベンチに座る。

「今日のことで
 ケンカしたの?」

「確かにきっかけは
 そうなんですけど・・・」

相模先輩は静かに先を促す。

「もっと根本的なことで。
 少し仲良くなったと思ってたのに、
 思ってるほどじゃなかったっていうか・・・」

少しだけ距離が近づいた、
そう思ったから
メイドと主人、
そうやって線を引かれたことに
傷ついたんだ。

「すいません。
 こんな話して・・・」

「話して楽になれるなら
 いくらでも聞くよ?」

にっこり笑う先輩に
胸が熱くなる。