「そう。大変だったのね。
 でもひよりちゃんに怪我がなくてよかった」
 
先ほどの話を莉沙にすると
心配そうな顔で言う。

「大変なのは
 あの野郎のほうだぜ?
 完璧に決まったもんな、
 一本背負い」

学校についても寛人は離れず、
おかげで周りからは
じろじろ見られてしまっている。
 
「ちょっ、そういうことは
 大声で言わないの」
 
あ、クラス張り出されてる。
私と利沙は同じクラス。
寛人だけ隣のクラスみたい。

「ちぇ、違うクラスかぁ・・・」

「ま、隣だからいいじゃない」

しゅんとする寛人の肩をたたく。
 
「じゃあね」
 
そう言って中に入ろうとすると、
 
「あ、待てよ。これ」
 
と寛人が包みを投げてくる。

「今日誕生日だろ。これ、やる」
 
そう言うと隣のクラスへと行ってしまった。

「へぇ、ちゃんと覚えてたのね」

少し嬉しくなって呟くと、

「先越されちゃった。
 ひよりちゃん、おめでとう。
 私は教室で渡すね」

莉沙が笑う。
友達が誕生日を覚えてて祝ってくれるって嬉しいことだ。

さっきのでケチがついたと思ったけど、今のですっかり浮上してしまう。

我ながら現金だ。