っていうか
いて欲しいと思われたいの、私?

「どうした?
 気分が悪いのか?」

「・・・ううん。
 いただきます」

自分の心がわからない。

ぐるぐるしていると
士狼が顔を覗き込んでくる。

ちょ、近いってば。

「お前、昔は気管支が弱かったろう?
 無理せずに寝ておけ」

「なんで知ってるの?」
 
士狼とそんな話したことないよね。
士狼は慌てて咳払いする。

「あ、ああ。
 建造から聞いたことがあった。
 会ったときからやたらと娘自慢を聞かされてな」

父さんが?

決して仲が悪かったわけじゃないけど
そんな子煩悩な人だったかな。

「やれ大会で賞をとったとか、
 成績は平均だけどやればできるんだとか」

は、恥ずかしい話をしないでよ、父さん。

「それに、お菓子作りが得意だとか」 

士狼の目はとても優しい。
よく見ると真っ黒じゃなくて
深い海の色なんだ。

見つめあったまま目をそらせなくなる。