「ずいぶん早く終わりましたね。
 ほう、仕上げもきちんとできています」

やった。
初めて褒められた。

高校に入学して
思いがけずこの屋敷に来て1ヶ月。

これでも今まで家事は自分でしてたけど
きちんとしたマナーまでは知らなかったし。

始めは失敗も多かったけど
ずいぶん上達したと自分でも思う。

今日はベットメイクを
宗像さんに見てもらっていたのだ。

「ありがとうございます!」

嬉しいな。
例えいやなやつのためとはいえ
こうやって仕事を完璧にこなすのって
性に合ってるみたい。

でも、1つ気になることがあった。

最近士狼が絡んでこないのだ。


廊下ですれ違っても
声をかけられることもない。

なんとなく疲れているような
顔をしてるみたいだけど

目が合うと

『何だ。
 用があるならさっさと言え』

なんて不機嫌に言いはするけど
こっちが慌てて謝るとそのまま行ってしまう。

チョコは相変わらず
仕事の邪魔をしてくるんだけど・・・。


「あのっ。
 士狼・・・あ、ご主人様は
 どうかしたんですか?
 なんだか調子悪いみたいで・・・」

そう私が言うと、
宗像さんはおや、と目を瞠る。