「ひよりってかわいいよね。
 名前で呼んじゃダメ?」

「い、いえっ
 ダメなことはないですけどっ」

「じゃあ決まり」

にっこり笑う綺麗な顔は
本当に王子様みたい。

「ちーひろ。
 お前天然でタラすのはやめなって」

深雪先輩がつっこむ。

そ、そうだよね。
特に深い意味はないよね。

「とにかくさ、
 大変なら愚痴なら僕らがいつでも聞くからさ。
 まだお友達には話せてないんでしょ?」

そうなのだ。
今回のこと寛人や莉沙には話せていない。

だって二人とも心配するもん。
寛人にいたっては士狼に喧嘩でも売りかねない。

「それに稽古で発散するもよし。
 ここのところ佐藤の気迫はすごいからな。
 他の部員の闘志に火がついて一石二鳥だ」

深雪先輩にもそう言われじーんとする。

「ありがとうございます!
 なんとか頑張ります!!」

あ、この2人と仲良くなれたのは
士狼のおかげなんだから
そこは感謝すべきなのかしら。

とにかく、
やると決めたんだから
頑張ってやろう。

2人に励まされ
そう改めて決心をした私だった。