学校が終わった。
皆とも別れて家に着いて玄関の鍵を回す。
 
扉を開けて

「ただいま」

と小さく呟く。
もう誰も答える人はいないのに。

『おかえり、ひより』
家で仕事をしていたから
帰ると大抵父さんが迎えてくれた。

父さんがいなくなって1ヶ月。
ただいまを言う癖が抜けない。

ほんの少し感傷に浸って
玄関から上がろうとしたときだった。

「やっと帰ってきたな」

恐ろしく不機嫌な声がした。

居間から人が出てくる。
今朝投げ飛ばしたイケメンだった。