俺が結婚してるってことは 今この10分間の会話で 歩美には話してないから 「妻を待ってる」っつったら 再び恋愛関係の話になって なんか、せっかく何とか 気まずくない状態にした この空気が また、つい10分ほど前の 重苦しいものに 戻ってしまう気がしたので こんな説明をするに至った。 『そっか。じゃあもう少し ゆっくりしてよっか』 「おお」 俺と歩美はまたイスに座って 世間話を始めた。