その人物はうちの方を向く。


まさか、そいつもうちに出会うなんて思いもせぇへんかったやろな。



目を見開いたかと思えば、不敵な笑みを浮かべてこっちに歩いてくる。


うちはそっと後ずさる。

動かへん足を無理に動かして、そいつから逃げようとする。



「なんでそんなに逃げんの?うちのこと覚えてるんやな。」


残り数メートル。

逃げたいのに、逃げられへん。


けど、逃げな殺される!



やっとのことで足がいうことを聞いた。


そいつから早く逃げたくて、力を振り絞って逃げる。


それでもあいつも追いかけてくる。


「待ちぃや!お前のせいでうちは警察に世話になってんぞ!」


そんなこと、当たり前やろ。


当然やん!


事実上、幸太を殺したんやからっ。



「おい!待てや!」


どうにかして逃げ切らへんと、ホンマに殺られる。


その時、目に入ったんは図書館。


あそこやったら、きっとあいつは入って来ぉへんはずや。



頼む、うちを助けてっ。


図書館に急いで入り込むうち。


できるだけ奥へ、奥へと入っていく。


ハァッ、ハァッ・・・


机があるところまで入って、窓の外を見てみる。


外にはまだあいつの姿があった。