「おっはようございま~す!三葉せんぱ~いっ!」


おかしな奴…それは

茶髪のフワフワした頭で!
制服ズルズル着ていて!
鞄なんか一回も持って来てなくて…


「あれー聞こえてなかった?み・つ・ば・せ・ん・ぱ・い?」


そして…チャラい…


「お・は・よ・う・ご・ざ・い・ま・す~♪」


おかしな奴はウキウキしながら
グッと私の顔に近寄って来た



「…ちょ…そんな近くに寄らないで…!」


「…うわー…三葉先輩…近くで見るとより一層…可愛いじゃん…めっちゃキスしたい~っ!」


「な…何言ってるのっ!?へんたい…」

「あれ…キスダメ?まだした事ない~?じゃオレしたらファースト?ねえねえ?」

「ば…バカじゃないのあんた…ちょっと近くに来ないで…」



思わずゾッと鳥肌がっ立った私
急いで両手で顔を隠すと
スッとその場にしゃがみ込んだ



「…瑛人さん!!」



すると
校門の側に止まっていた大きな外国車から
スーツ姿の若い男性が声を荒立てながら走り寄ってきた



「な…何やってるんですかーっ!ほらっ!玄関あちらですよ!」

「あれ…太郎ちゃんまだ居たのかよ…」

「瑛人さんが校舎に入るまで私は安心して帰れないんです!ほら!ここで皆様のお仕事の邪魔してたらいけません!」


「もー…うるせー…」



男性はそう言っておかしな奴の肩を持つと
玄関まで押して行った



「なんだよー折角先輩と話してたのに…あーあ…」

「ご迷惑かけてただけでしょ!ほら…早く…」


ブツブツと文句を言いながら校舎に向かうおかしな奴


やっと玄関にたどり着いたと思った次の瞬間


「三葉せんぱーい!今日かえりー!デートしてよー!俺玄関で待ってるねー!」


勢いよく振り返り
学校全体に響き渡るくらいの大声でそう叫んだ


「瑛人さん!!」


おまけに男性の叱る声も…


呆然としながらその光景を見る私と智世
そして登校生徒数名…



「ねえ三葉…なんであんなチャラいのに気に入られちゃったのよ…?」


「そんなの…私が知りたいよ…」


私はそう言ってカクッと肩をおろした