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男たちが去り、フロアも落ち着いたところで、私と吉野は裏に戻った。
吉野にバレないように、私はふぅ、と小さく息をつく。
吉野来てくれなかったら、って思うだけで…ゾッとする。
ありがとう、って言わなきゃ…。
吉野のこと嫌いだけど…助けてくれたんだもん、ね。
「あの………、」
「…大丈夫か?」
「へ…?」
私のことをじっと見下ろす吉野。
こんなに近くで話すのって初めてかも。
それに…気のせいかもしれないけど、優しい目をしてる気がする…。
もしかして、ほんとに心配してくれてるのかな…。
いつもとは違う雰囲気の吉野に、私の心臓はトクンと音を立てた。
「…う、うん。大丈夫…」
「そ。なら良かった」
「―――…!」
その瞬間、私の目に飛び込んできた光景に、目を疑った。
―――嘘…っ!
吉野が笑った…!?
2年間、私の前で笑うことのなかったあの吉野が。
それは、私に向けて見せた初めての“笑顔”だった。
驚きすぎて、言おうと思ってた『ありがとう』の一言を言うことができなかった。

