誰から『嫌い』と言われたとしても、特に何も思わない。
でも、梨夏から出た言葉は別だ。
梨夏の小さな一言でも、俺は一喜一憂するのだから。
…そんなの、女々しいって思うんだけど。
「―――…」
「…吉野…?」
突然言葉を止め、真顔になった俺を見て、梨夏に不安な表情が浮かぶ。
「…言うな、って言ったよな?」
「へ?」
「嫌いって、二度と言うなって」
「―――!」
梨夏がしまった!という表情をしたけど、今さら遅い。
自然に動く身体。
―――俺から離れるなんて許さない。
嫌いになんてさせねぇし。
「んんっ!」
気付けば、梨夏の腕を引き、唇を塞いでいた。
「ん、よし…っ!」
唇が離れた一瞬を狙って、梨夏から俺の名前が出るけど、止めることなんてできない。
梨夏は俺の胸元をトントンと弱々しく叩いて抵抗してるけど、そんなの無駄だ。
「………ぁ…っ」
梨夏から漏れる甘い声に、俺はさらに夢中になる。
もう、止まらない―――…。

