―――――こばやし、りか…?
じゃあ吉野は、小林吉野…?
嘘…
もしかして…!
「吉野、って名前だったの!?名字じゃなくて!?」
「うん。ほんとに知らなかったんだ?みんな知ってると思ってたんだけど」
「しししし知らない…!」
でも、何で?
シフト表とか名札とかはみんな名字呼びなのに、吉野だけ名前呼びなの?
私の心の中を読んだ吉野は、その答えをあっさりと口に出した。
「今はもういないけど、“小林さん”っていただろ?同じ名前って紛らわしいし、吉野って名字みたいだし、ってことになってさ。まぁ別に俺はどっちで呼ばれても良かったから」
「――――…」
確かに、小林さんっていた。
吉野に負けないくらいのイケメンが。
…性格は吉野以上に残念だったけど。

