「ちが…!っていうか、こっちのセリフだし!誘ってるの、吉野くんでしょ!?」
いつも私を惑わすのは吉野。
そうでしょ!?
「…ん、まぁ、そりゃね。好きな女誘うの当たり前だし」
「――――っ!」
そう甘く言う吉野は、私の足首から上に上がってくる。
私に触れているわけでもないのに、その動きと表情はすごく魅惑的だと思った。
ゆっくりと吉野の手がたどり着いたのは、私の頬。
ツツ、と人差し指で私の頬をなぞる。
そして、唇に触れた。
戸惑いっぱなしの私の表情を見て、吉野がクスリと笑った。
「…おいしそう。食べていい?」
「え?んん…っ!」
――――ポフンッ
勢いのまま、二人でソファに倒れこんだ。
頭を打たないようにと、吉野の手が私の後頭部を包んでくれている。
下にはソファ、上には吉野。
吉野の手によって包まれる身体。
貪るような甘いキス。
完全に囚われて逃げ場のない私は、吉野の動きに答えることしかできない。
「……………梨夏」