大嫌いなアイツ

 

ゆっくり唇が離れて、吉野に抱き締められる。
吉野の鼓動が伝わってくる。
…私と同じ。
普段より速い鼓動だ。


「…良かった。やっと報われた」

「………やっと?」

「ずっと好きだったし。2年越しの片想いとか、笑えるよな」


ククッ、と吉野が笑う振動が伝わってくる。


…………2年、って!
最初、から!?


「嘘っ…。私、2年、吉野くんのこと嫌いだったのに」

「――――おい。それ、本気で傷付くんだけど」

「だって!吉野くんの態度、酷かったし!私にだけ無愛想でさ。何で、笑ってくれないの?って」

「………………」


吉野が私の身体を引き離す。
最初は驚いたような顔してたのに、しばらくするとニヤッと意地悪な笑みを浮かべた。





―――――何…!?