大嫌いなアイツ

 

そろそろと顔を上げると、そこには吉野の優しい笑顔があった。
………助けてくれた時と同じ笑顔が。


「……………好きだから、だよ」

「…………………へ?」

「俺が岡部さんのことを好きだから。」

「―――――」


好き…?


好き!?


吉野が、私を!?


「―――嘘っ!だって、吉野くん、私のことめんどくさそうに見てたじゃん!」


だから、『私のことが好きだから』って選択肢はすぐに切り捨てたのに!
どう考えても、わかりづらい!


「は?……あー。めんどくさいね」

「!」

「…でも、めんどくさいのは、俺自身だし。」


吉野が、吉野自身をめんどくさい…
………理系の人は難解な言葉を使うな…。


「……意味、わかんない」

「好きな子に対して、どう接していいかわからない自分に、イラッとする。ってこと」

「へ?」


それって…
よく小学生が好きな子をいじめちゃう、とかその感じですか?










「…そうだよ。要するに、俺はガキってことだよ」