大嫌いなアイツ

 




「…よし」


戸締まり完了。


店からバス停に向かう。
空を仰ぐと、ポッカリと浮かんだ月。
空と地上を明るく照らす。


「あ。今日、満月だったんだ」


月の明るさで星はあまり見えないけど、真ん丸なお月さまは本当にキレイ。


今日は、月に願いを、かな。


……ほんの少しでいいから、吉野と話をさせてください。


なーんて。
柄にもなく乙女過ぎて笑っちゃうよ。
しかも、何を話すんだ、って話だし。


お疲れさまでした~
いつぞやは助けてくださって、ありがとうございました~


…………何で、キスなんかしたの?


何よりも、一番聞きたいことだ。
結局、真意はわからないまま。








―――バス停にもうすぐ到着するという時。


「――――――ほんと、トロいよな」

「へ…?」


聞き覚えのある声に、目を向ける。


月に照らされて立っているのは…


紛れもなく、吉野。