自分は美晴に対して、こんなドス黒い感情を抱いていたのか。

葵自身が驚くほどに、その胸には強い負の感情が宿っていた。

妬みなどというものではない。

嫉妬なんてものじゃない。

憎悪。

逆恨みも甚だしい。

美晴には何ら非はない。

しかし、何もかもに恵まれて、その上に葵の愛しい人まで奪われて。

醜い感情を、葵は抑える事ができなかった。