絶対にみちゃダメ!

 それから、あたしたちは寮に帰ることにした。

 とりあえず、雅を何とかしなくちゃいけない。

 元が男の子だから男の子に戻るのは簡単だけど、女の子に変身するのは大変だ。

 一体、どこでどんな風に男の子の格好になったのかわからないけど。

 大体、どこからタキシードを持ってきたんだろう。

 髪も地毛の色に戻しているし。




 雅の手を借りて、屋敷をとりまく塀を乗り越える。

 泥棒のようなあたしたち。

 あたしも雅も身軽だったから助かった。

 せっかくの赤いドレスの裾が破けてしまったけど。

「ごめん、雅。ドレス破けちゃった」

 たしかお姉さんのだといっていた。

 お姉さんの話をしたときの雅の悲しそうな顔を思い出すと、このドレスは本当は大切なものだったんじゃないかと思う。

 ハイヒールの靴もなくしちゃったし。




 靴の無いあたしは雅の背に負ぶわれていた。

 ぴったりくっつくと小柄で細身だけど、ちゃんと男の子の骨格をしているのが分かる。

「いいんだ……ドレスは気にしないで。それより、疲れたでしょう?早く寮に帰って休まないとね」

 あたしが泣いたからか、雅は凄く気遣ってくれる。

「あはは、興奮して眠れないかも」

 あたしはわざと明るい声を出した。