絶対にみちゃダメ!

 しばらくしてあたしはやっと芝生の上におろされた。


 ハイヒールはどこかで脱げてしまった。

 抱き上げられてたとはいえ、結構なスピードで走っているところにしがみついていたから、体がガクガクした。

 雅は呼吸一つ乱していない。

 そしておもむろに、目元を覆い尽くしていた仮面をとる。


 雅は手を伸ばして、あたしの仮面も取り去った。




 ちょうど風が吹いて、雅の髪をすくった。

 さらりと月明かりに反射して金髪がきらめいて見えた。

 不思議な光を宿す青い瞳が、あたしをまっすぐ見つめてくる。




 ドキン……と体のどこかが反応したのが分かった。

 雅のまなざしはいつもまっすぐで、射抜かれそうに感じる。


 一瞬時間が止まったかと思った。

 あたしは気づかないフリをして顔を反らした。




「小町、虎と結婚するの?」

 男の声で雅は質問してくる。

 目の前の姿はタキシード姿でカラコンもしていない、いつかの夜の雅と同じ、全くの男の子だった。


 綺麗な色の瞳で切なく見つめられて、あたしはとっさに地面に目線を落とした。