絶対にみちゃダメ!

 ダメダメ、殴っちゃダメ。

 あたしは今にも繰り出しそうになっている拳を、机の下で握り締めた。

「小町は声まで可愛いなー」

 虎のその台詞に、雅が心底嫌そうな顔をする。

「虎之助、あんた、ウザイよ」

 まったく同感。

「別にいいだろ。小町は俺のなんだから」

 雅の攻撃にまったく動じていない様子の虎は、あたしのほっぺに軽くキスしてきやがった。

 ガタン、とあたしは思わず身を引いてしまう。



 こーいーつー……人が黙ってたら、調子に乗って!

 あたしの怒りゲージがリミットに近づく。


 でも、反撃しちゃダメ、ダメダメ。

 じっと耐えるしかなかった。




 教卓の前に先生がやってきて、いろいろ説明してくれるけどあたしの耳を素通りしていく。

 始終ニコニコ顔で虎があたしの顔を見ているからだ。



 時々勝手に髪を撫でたりしてくる。

 はっきり言って、超ウザイ。


「虎之助、女の子にぶしつけに触るのやめなさいよ」

 雅がフォローしてくれる。

 ありがたいんだけど、腕を伸ばして虎の肩を押している。

 あたしを挟んで二人の体が揺れるから、落ち着かない。

 どうもこの二人は仲がよくないらしい。